独り #monkey


 
 
 午後からいつも歩いている山道へ向かう。今年の冬は暖かいと言えど2月の山は寒くなかなか動物を見つけることができない。石空川(イシウトロガワ)の林道少しを入ったところでギョッとした

 

 猪の死骸である。

 内臓はなくなり、肋骨、背骨、顔が残っている状態である。

 一瞬にして、背筋が凍り、辺りを注意深く見回すが、当然のことながら何もいない、静寂である。

 「熊か・・・?いくら暖冬と言えどもう冬眠から覚めているのか?それとも冬眠しなかった熊か?猪だぞ。熊以外にこう出来る動物がいるか?」

 必死に思考を巡らす。

 その時!

 後方の木の上でガサガサと音が聞こえる。

 びっくりして振り返るが、何も見つけることができない。早々に林道を後に見通しの良い少し広い道にでる。ちょっと離れた場所から再度木の上を見る。

 「見つけた!」

 一匹の猿が、木の上で食事をしていた。こちらの方をちらっと見る。

 「あ、見つかったな。逃げられるかな?」そう思いながら、慌ててカメラにレンズをセットする。その間、猿は何事もないように食事を続けている。「逃げないでね」そう思いながらシャッターを切る。なかなか顔や全体像が写せない。「もう少しこっちを見てくれ」そう願いながらファインダーを覗く。慣れない望遠ズーム、ピントを確認しながらの撮影。

 一瞬、猿がちょっと物思いにふけるように止まった瞬間を撮影。

 この後、背を向け別の木に移動し見えなくなった。撮影した枚数は17枚だった。

 猿が視界から消えて、すっと我に帰り、今日は引き上げることにして帰路に着いた。

 次の日この死骸の場所に行ってみると、死骸は頭だけになっていた。明らかに何かに食べられたよう。帰り道、地元の猟友会の人たちとすれ違ったので、もしかしたら、なんらかの対策をしたのかもしれない。また、この場所で熊が出たとの知らせも聞かない。

撮影地:山梨県北杜市
カメラ:Canon EOS-7Dmk2
レンズ:SIGMA 150-600mm F5-6.3 DG OS HSM|Contemporary 015

http://gungh6.wix.com/takaotsushima

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